くじ運の強弱
  限りなくゼロへの出発 
 くじ運に弱い者は勝負運にも弱いという。 くじの当選の確率は誰でも50%は持っているそうだ。 それなのに、くじ運が強い弱いというのは 「良いもの・高額なもの」 に多く当たる人はくじ運が強いといわれ、値打ちのないもの・賞品が多いからハズレの人を当選とするくじに当たってしまう人は弱いといわれるのである。
 宝くじなどは高額当選の確率は限りなくゼロに近いといいながら、それでも買わなければ全く当たらないのだと年間数十枚を買うのだが、まず三百円以上の賞金にあたった事がない。
 いやこの十年位の間に一万円が一回当たっていたらしい。 それは四、五年前、七十枚ほどの宝くじを持って新橋の宝くじ売り場へ当たり券の確認に出向いたのである。 自分では何回も確認して三百円のあたり券七枚のはずであった。 ところが一万二千百円が差し出された。 一瞬黙ってもらってこのまま逃げちゃおうかと思ったのであるが、売り場の女性が可愛い女の子であったので思わず話しをしてみたくなり
 「三百円の他にあたり券があったのですか?」 と聞いたら
 「五等が一枚当たっていましたよ。 運が良かったですね」
 「本当ですか? 自分では相当チェックした積りだったんですが……。 それじゃ、これで四十枚買えるから、ばらと連番半分ずつ下さい」
 後で考えたら、70枚の代金2万1千円が約半分に減ったのに運がよかったですねと言われるのも妙な感じだが、その時は可愛い女の子より言われた、運が良いが先の立ち、運が運を呼び込むのだと思ったのであった。 しかし、結果は少し希望を持っただけで十分の一に減ってしまったのである。
  
宝くじグループ買い    
 三年程前になるが、熱海のスナックのママから私に電話が掛かってきた。
 「山崎さんのところは恵比寿に近いと聞いていたけど第一勧銀の恵比寿支店と取引ありますか?」
 「うん、取引あるけど、どうしたの?」
 「ええ、うちのお客さん達と宝くじのグループ買いをしているのだけど、今度は恵比寿で買いたいということになったのよ。 四十万近い金額だけど、最終的にはもう少し多くなるでしょうから、もう一度電話するわ。 そうしたら銀行に揃えてくれるよう、顔利かせてよ」
 「へぇー、そんなことなら銀行も喜ぶから構わないよ。 それじゃ私も一万円相乗りするから数の中へ入れておいてよ」
 「じゃ、十五日の金曜日に十一時頃、二、三人で行くからね。その前に電話するわ」
 四十万からの現金を持って来るのだから、そりゃ一人では無理なんだろうな。
特に帰りは、何億になるかも知れぬブツを皆の代表で持って帰るのだから大変だ。 しかし熱海の方からは、その後、高額賞金が当選したとの通知もなく終了した。
 銀行の支店では高額買取の客は記録があるそうだ。 そして支店から高額当選券が出たかはすぐ分かるそうである。 だから高額当選券が出た場合は、買ってくださったお客様の分かる人達には十分調べてくださいと通知するそうである。 だが私にはそのような通知も全くなかった。
 昔は熱海での会合が結構あったものだが、最近はトンとご無沙汰である。 わざわざ一割くらいの配当金にスナックのママへ電話するのもミミッチイ。 貰いに行けば飲み代を含めて何万円の金がかかるのは当然だ。 そのままにしていたら昨年 「都合により閉店することになりました。 ×月×日閉店パーテイを開きます。 山崎さんは無料ご招待をしますのでぜひ来て下さい」
 との葉書が来て、このグループ買いの集団は完了となったのであった。
  
  
ビンゴゲームの優劣 
 くじ運の強い弱いがハッキリ表れるのがビンゴゲームである。 強い人は四回か五回目にリーチが掛かり、ユウユウとビンゴを待ち構えているのに、弱い者は真中のフリーの穴一つだけで何の変化もないとは全く情けない。 
 我々の目黒法人会第六支部でも二月に開かれる五、六支部合同新年会では、もう七、八年前からビンゴゲームが開かれるのが恒例である。 第六支部内の有志の会社より賞品がたくさん集まるから、早いもの勝ちの方式で賞品を持ってゆくので皆さん熱中してくれる。 あまり好評なので数年前の第六支部の総会でも懇親会にビンゴをやった。 私が個人で大きな電動式のビンゴゲームの機械を持っているから楽なのである。 この時の賞品は私個人が提供した。それでも 「越の寒梅」の特撰と別撰や何やかにやで20本くらいの賞品であった。
 私は、私の賞品で行うビンゴの気安さから
 「今日のビンゴでは、私は三回目でリーチがかかり四回目でビンゴになりますよ」
 とオオボラを吹いたのである。 そんなことは出来ることではないのであるが、
場を盛り上げるジョークくらいの気持ちであった。
 ところが不思議なことにオオボラそのままに三回でリーチがかかり、四回目に右肩上がりのビンゴが完成してしまった。
 こんなことが現実にあるのであろうか? これまで永いビンゴゲームの経験でも、四回でビンゴになった人など聞いたことがない。 何たる幸運なんだろう。 だが、私が自分で揃えた賞品のビンゴゲームの時にこんな幸運にめぐり合うとは、これまた何たる不運なんだ。
 私は賞品の受賞を辞退したのであった。

  
私はくじ運に強い? (弱い?)
 
平成十三年九月、私が参加した会の懇親会でビンゴゲームが開かれたのである。 この会は二年に一度の総会なのだ。 百名を超える人数だしユーモアを交えた軽妙な司会者なので大変楽しい。
 ところが私は全く付いてなく、上位の賞は私をドンドンすり抜けて、最後の賞の九本のうちの二本が残るのみとなったのである。私も三通りのリーチが掛かっていた。
 「これで最後の数字となるでしょう」
 司会者の大きな掛け声で私もやっとビンゴとなった。 思わず 「ビンゴ」 と大きな声を出して前え出て行ったら、何と残り二本に対して七人の当選者が出てきた。 七人でジャンケンの結果は賞を受ける二人には残れなかった。
 「残念」 と戻ろうとしたら、この五人が司会者から呼び止められた。 
 「実は今日のビンゴには、もう一本隠し賞が用意されているのです。 この賞は特等と同等以上の賞なのです」
 と言いつつ、賞品を大書してある紙の折り曲げて隠してある部分を開くと
 「隠し特賞 空気清浄機   一本」
 と書かれてあった。
 「さあ、五人の人達でジャンケンで決定してください」
 約百名注視のもとに五人によるジャンケン大会が始まり、熱戦の末、何と私が勝ち残ったのであった。
 これって、くじ運が強いと言うのであろうか、それとも弱いと言うのであろうか?