まえがき(浮気の虫)
この度、商談奇談の第二集「浮気の虫」を出版することが出来た。 全く嬉しい限りである。 第一集の「ガラスのダイヤ」は表紙のカバー絵を同期の友、進藤蕃に頼んだら快く引き受けてくれた。 私はこの6年の間
「私の本は、このカバー絵に値打ちがあるのですよ」
と知り合いの人達に配り歩いて楽しい思いをして来たのだ。 同期の友に芸術家がいるとは何と幸せなんだろう。 この一点豪華主義を貫き通したい。 同じく同期の友に彫刻家の江口週がいるのだ。 またまた無理を承知で頼んだら友とは有り難い、二つ返事で引き受けてくれた。 全く嬉しい限りである。
このことを進藤蕃に報告したら
「江口が本の装丁に絵を画いてくれることは滅多にないことだよ。 それは良かった。 値打ちのある本になるだろう」
と喜んでくれた。
ところが、この進藤蕃が私の第二集の完成を待たず平成10年4月16日に急逝してしまった。 誠に残念の極みである。
この3年くらい、ゴルフ好きの進藤蕃が発起人となって出来たゴルフ会「豊球会」
(都立豊多摩高校・高三期のゴルフ会)が、池田、山口が幹事となって年3回のコンペが定着して来たのである。 そしてこの優勝賞品として出してくれる進藤の色紙の絵を皆で奪い合って来たのだ。
平成9年度、美術部門の芸術選奨文部大臣賞を同期の友、彫刻家の江口週が受賞した。 この受賞祝賀会を進藤が紫雲の世界へ旅立つ二ヶ月ほど前に我々の仲間で開いたのである。 その折、病状が思わしくなく出席できなくなった進藤より 「おめでとう週ちゃん」 の一文が寄せられた。 闘病中にもかかわらず友に対する温かい気配りの溢れた文章は後に載せさせて頂くと共に彼のご冥福をお祈りする。
私は昨年の同期会で出席のみんなに
「来年の同期会までに俺の第二集を出版して、この同期会を俺の出版記念パーティーにしたいと思う。 第二集の副題は 『浮気の虫』 とする予定だ」
と大言壮語したのだが、江口、海岸の援助で何とか完成することが出来て嬉しい限りである。
人間、歳を重ねると嬉しいこと悲しいこといろいろあるが、私の回りには勝手なことを言い合える仲間が数多くいてくれることが、私には最大の財産であり、有り難いことだと感謝しているのである。
平成10年8月吉日
山崎晋哉