楽しみもある単身赴任  
  上手な処理は男の生き甲斐 
 男とは何とも仕様のない動物で、単身赴任が長くなると、とかく女性との問題を起こしやすいようである。
 単身赴任も仲間と何人かで一緒の生活をしているのならお互いが牽制し合うのでまだ良いのだが、全く一人の生活で、そばに女房のような口うるさい者がいないと、つい羽根を伸ばし、その結果、問題を起こすことになる。女よりも酒がよいという酒好きの人は、これまた酒を飲みすぎて健康を損ねることになる。
せめて家族と離れたこのような機会にいろいろ経験をつんで、多少の失敗があったとしてもそれをうまく処理してこそ男の生き甲斐と言えるにではないだろうか。
 大体、浮気と言うものは家族の目の届く範囲では絶対にしてはいけないものだ。不思議なもので、何もない二人は一緒に歩いても目立たぬそうだが、不倫の関係の二人はどう隠しても人の目につきやすいと言う。
 どこからか二人で出てきたところを妻の友人に見られてしまったとか、買い物に付き合ったのを娘に一部始終バッチリ見られてしまったなどよくある話である。
 また、
手軽に社内或いは取引関係の女性に手を出すことも地位のある立場の者のすることではない。地位や権力を利用して女性を口説くというセコイ考えが、後で必ず問題を引き起こすことになるだろう。
  
浮気発見法
 
 女性も 「女房」 と言う呼び名に変わると亭主の浮気の発見には動物的な勘を発揮するようになるらしい。私の知人の奥さんは、単身赴任をしているご主人の部屋の掃除機の中から一本の長い髪の毛を発見し、絶対浮気をしているとの確信のもとに、あらゆる角度よりご主人の知らぬ間にチェックし、動かぬ証拠を握った人がいる。
 私の家内の友人は、しぶとくとぼけるご主人の車の中とご主人が帰ってきた後のごみ箱を丹念に調べ上げて、六ヶ月目にして浮気の証拠を握ったという。靴下の右、左に印までつけたというから、男はゆめゆめ油断はしてはならない。
 一つおかしな点を見つけたら、そこで騒がず、じっくり追って行けば必ず点が線につながって来るものだそうだ。
 このような"敵”に対抗するには、休日などに下着やパンツをわざと裏返しに着て
 ━━うちの主人は全く抜けたところがあるから、これじゃ浮気は出来ないわね━
 と安心させることも必要である。
 まあ、妻というものは口うるさいうちがむしろ安全で、静かになったからと言って安心してはいけない。このような時期は何かを画策している危険信号なのである。
 
お互いまあまあの結婚生活をしていて、今更離婚もできないと言う人は、外では、若さを保つ刺激を得る程度にとどめておくことが、一番安全なのであろう。    
   単身赴任者の心得 
 仙台に私の会社の主要得意先がある。この会社の長谷川専務は単身赴任なのだ。お子様方は成人し、それぞれ独立しているから、福島の家には奥様一人である。高速道路を利用すれば通勤できない距離と時間ではないが、六十歳を過ぎての福島と仙台の往復は毎日となると大変だ。夜の付き合いもあるし、社内の打ち合わせで夜遅くなることもある。それで仙台での単身赴任を決心したのであった。
 男というものは、中年過ぎてから奥さんと死別したり、何かの理由で離婚して別れた生活になると、みるみる塩たれて元気がなくなり、しぼんでしまうのに、女性は逆に邪魔者がいなくなって、これからは私の天下とばかり若々しく生き生きとしてくるから不思議である。
 単身赴任者は、これほどでないにしても健康を損なう人が多いのだ。多くは不摂生の生活が原因である。夜は淋しいし、回りに口うるさい者がいなくなった開放感から飲み歩く。食事は外食やインスタント食品が多くなる。このインスタント食品が問題で、これは意外と塩分が多いのだ。外で食べる食事もどうしても塩分が多いから、よほど気おつけないと塩分の取りすぎで血圧が上がり体に変調を来たすことになる。
 その上、夜はカラオケでイ長調だロ短調だと気持ちよく唄っているうちは良いのだが、そのうちにイロ蝶々に騙されて胃変調を起こすということになるのだ。
 ところが、長谷川専務はなかなかの激務をこなしているのに、お顔の色つやも良く、いつもお元気で血圧も正常だそうである。
   
愛のメッセージ入り献立
 ある時私は
 「実は私の回りに、六十を過ぎて単身生活をしますと、健康を害している人が多いのですが、専務さんはいつもお元気でいらっしゃいます。何か、特別気をつけておられることでもあるのですか?」
 「いや、私も最初の頃は体の調子がおかしくなったんですよ。それが食事に原因があると言うことがわかったんですね。それで家内と相談して、こういうことをやってみたのです」
 仙台と福島という距離的な有利さもあるが、休日の前夜には自分で車を運転して奥様の待つ福島の家へお帰りになる。そして月曜日の朝、仙台の会社へ出勤するのであるが、その時、奥様の手作りの一週間分の夕食の料理を持ち帰る。月曜日は会社へ直接出勤だから会社へ着いたら何を差し置いてもこの料理を冷凍庫に保管する。
 この一週間分の料理の献立は奥様が前の週の木曜日或いは金曜日まで毎日夕食を作って食べたものと全く同じものである。要するに、奥様は福島で一人で生活なさっているが、夕食の支度は常に二名分作っていらっしゃるのだ。
 この余分の一名分の料理を毎日冷凍庫で急速冷凍して保管する。こうして出来た一週間分の料理を月曜日にご主人に持たせるのである。一日分の包みには月曜日は黄色とか火曜日は赤とかの二人の間での約束事がある。たまには包みの中に 「今日は長男の誕生日です」 とか 「結婚記念日おめでとう」 など、男が忘れているようなメッセージが入っていることもあるのだ。
 現代は電子レンジなる重宝なものがあるから、解凍にも手間は掛からないし、慣れると味を損なうこともない。一人で食事をしていても前の週の今夜は家内が同じ物を食べていたんだと思うと一人暮らしの寂しさが薄らぐのである。
 奥様の方も、今日は面倒だから簡単に済ませてしまおうと思っても、ご主人の食事の支度をせねばならぬから体を動かすことになり、一人の生活の寂しさを感ぜぬままに一週間が過ぎてしまう。そして規則正しい生活・食事をするから、奥様も健康でいられるということになる。夫婦が離れて、それぞれ一人で食事をしていても、自然と食事の中に会話が生まれてくると言う。
 人間の体とは不思議なもので、同じ物を食べても精神状態によって栄養の吸収力が違うものだそうだ。どんな豪華な食事をしても、味気ない雰囲気の食事では明日の活力とはならないのである。
 長谷川専務のいつも元気で明るい健康は、この愛情のこもった夕食に起因していたのであった。
 毎週、毎月、帰ることの出来ない遠方の方クール宅急便なるものもあるようです。一ヶ月のうちの数日分でも試してみてはいかがですか? 
   
武士の情け 
 私の親友が東北のある都市で、有名都市銀行の支店長をしていた時代があった。私が仕事の関係でその地へ出張した折は
 「支店長! 支店長!」
 とおだてまくって、繁華街をあっちの店、こっちの店とはしごで遊びまくっていたのである。当時は、地方都市で有名都銀の支店長ともなれば名士の部類に入るから、どこへ行ってもモテた。私も彼の親友と紹介されるから、全く彼と同じ待遇を受けられ、それは楽しいものであった。年に四、五回の出張のうち、二回くらいは得意先の付き合いは同行の社員に任せて、私は彼にくっついて、遊び回っていたのである。   
 彼は職業柄、大変な勉強家で、書道もなかなかの達筆となり、その上経済問題にも精通していて、私の見聞き出来ぬいろいろな話しを、聞かせてくれたのであった。景気の先行きの見通しなども私の質問に的確な回答を出してくれるのが私には有り難く、大変参考になったのである。
 ある時、いつものようにはしごで遊び回った最後に
 「今日は山崎に俺が食生活でお世話になっている店へ案内しよう。小さな店だが家庭的でうまいものを食わせてくれる店なんだ」
 彼の話では単身赴任の生活で一番困るのは部屋の掃除と洗濯なのだそうだ。
食事は外食で生きてゆけるにしても、忙しい毎日が続くと掃除と洗濯が出来ず、気持ちが非常に焦るそうである。
 そんな話しをしながら、ある定食屋へ案内してくれたのだ。中年のご夫婦がやっている店で、客も常連客がほとんどであり、打ち溶け合って気楽な店と言う雰囲気であった。
 彼がこの店へ入って行くと、客の中の一人の女性がすっくと立ち上がって、彼に近づいてきた。三十七,八歳のちょっとした美人である。彼女は決心を秘めた眼差しで彼のそばまで来ると、小声で
 「支店長さん、先日のお話、私は真剣に考えたいと思っているのです」
 彼は横目でチラと私を見ると、いとも明るい調子で
 「いやー、実は今日、東京の高校時代の同級生で同期会の会長が私を訪ねてきてくれましてね、大変楽しい一日でしたよ」
 と、暗にその話は今はまずい━━との意志を彼女に示すのであるが、彼女に理解してもらえず、彼は困惑していたようであった。
 まあ、話の内容は、さほど深刻な話ではないのだろうが、彼がドギマギ慌てると、詮索してみたくなると言うものだ。しかしこの時は武士の情けだと全く聞こえぬ振り気付かぬ振りをしたのであった。
   
単身赴任から抜けられぬ
 彼も単身赴任が長くなると、たまに家へ帰っても居場所がないのだそうだ。子供が小さい時ならまだ良いのだが中学三年から高校生ともなると、帰宅の間隔が三ヶ月か四ヶ月に一度くらいでは全く話が合わなくなる。まして成績の話から進学のことに口を出そうものなら
 「おじさん、何いってんの」
 という感じしか伝わってこないと言う。如何に夫婦、親子の平素の会話が大切かということであろう。
 この彼が、十年近い地方回りを終えて東京の大店舗の支店長として戻って来た 「お前が東京へ帰って来たら、この埋め合わせはするから……」
 と調子の良いことを言って、二年以上も東北の歓楽街で散々世話になって来たのだ。早速埋め合わせをと思いつつも、逆に近くなるとお互いの都合がつかずいつの間にか二年近く過ぎてしまった。そうそう引き伸ばすわけにも行かぬだろう
 「招待するなどと大きなことを言っても、中小企業の経営者じゃ大したことも出来ぬが、勘弁してくれ」
 と言いながらも、私としては精一杯ミエを張って、フランス料理店で食事をしたあと渋谷のクラブへと案内したのであった。
 十時頃になって
 「お前も立場が立場だから東京にも馴染みの店があるんだろう? 今まで散々世話になったから、今日は俺の負担でそっちへ行ってみようか?」
 「そう言ってくれるならどうだろう? ちょっと遠くて西荻なんだけど行ってくれるかい?」
 「西荻なら、あんたのかえる方向だろう。いいじゃないか。これから行こう」
 「小さな店なんだけど寄ってみたいんだ」
 西荻窪駅近くの 「姫」 というスナックバーである。カウンターのみの店で六、七名も座れば満席なのだ。  
 カウンターの中には四十歳前後の美人のママがいる。客はほとんど常連さんで長い付き合いと感じられた。
 手作りの酒のつまみも数種類用意されていて、それぞれ客の好みに合わせて出てくるのだ。客の様々なグチ話しもこのママが親身になって聞いてくれるのである
 酒が適当に回ってくれば、何も言わなくてもその人の十八番のカラオケが流れてくるのだ。
 ふと壁に目をやれば、丸い額の中の色紙に漢詩が書かれてある。達筆な筆跡だなとよくよく見れば、なんと彼の落款が押してあった。
 ━━何だ。彼は東京へ帰ってもう二年になるのに、まだ単身赴任を続けているのか。なかなか単身赴任からは抜けられないものなんだな。
 彼は地方の都市へ転勤した単身赴任者が好んで通うような店を、東京へ帰って来ても見つけ出し、この店の常連客の中の常連客として君臨していたのであった。

    
ショート・ショート
    チャコちゃん
  おばあちゃんが病気になったので、お母さんは泊りがけで看病に行くことになりました。チャコちゃんはお父さんとお留守番をしたのです。夜、お父さんと一緒に寝られるのがとても楽しみでした。
 ベッドの中でチャコちゃんはお父さんに、おねだりしました。
 「パパ、ママにちゅるように優しくキスして」
 パパはチャコちゃんを抱いて優しくキスをしてくれました。
 「ママにちゅるように、おミミのところでゴニョゴニョゆってちょうだい」
 パパはチャコチャンの耳元で小さな声で、ゴニョゴニョと言いました。
 するとチャコちゃんは向こうへゴロンと寝返りを打つと
 「あたち、きょうはだめなのよ。だって、とってもちゅかれてんでちゅもの」
 と言いました

    
信用限度
 娘のボーイフレンドが彼女の父親におそるおそる
 「実は今日はお願いがあって伺いました」
 すると娘の父親は上機嫌で
 「ジェーンのことかい。いいよ。許すから結婚しなさい」
 「いえ、今日は十万ほど貸して頂けないかとお願いに参りました」
 「なに?金を貸してくれだと、俺はまだ君に金を貸すほど信用しちゃいないぜ」

    
ライバルは消せ
 金持ちの御曹司の晴彦が病気で入院した。そして美人の看護婦に恋をしました。ある日晴彦は看護婦さんに思いを打ち明けて
 「貴方と別れるのが辛いから良くなりたくありません」
 「大丈夫よ。良くなりっこないから。あの先生も私に夢中で、先生は貴方が強力なライバルだということを知ってしまったんですもの」

  
 長生きの秘訣
 九十二歳のおじいちゃんに 長生きの秘訣を聞きました
 「そうだな、秘訣と言えば早く女を断つことだな」
 「それじゃ、おじいちゃんは何歳頃より女を断ったんですか?」
 「うん、私は早いほうで八十二歳で断ったものじゃ」
 (皆さん八十二歳まで生きられますか?)

    
イミテーション
 金持ちのプレーボーイがガールフレンドの誕生祝に素晴らしい真珠のネックレスを贈るというので友人が驚いて
 「同じ高価なものなら、自動車のほうが安くて喜ばれるのじゃないか?」
 するとプレイボーイは笑って言った。
 「自動車のイミテーションなんて、聞いたことあるかい?」 

    
熊の敷物
 八兵衛が大店の旦那の家へご挨拶に行き、見事な熊の敷物に座らされた。
 「全く立派な敷物ですね」
 「うん、昨年、私が鉄砲でしとめた大熊を敷物にしたのだ。どうだ大きいだろう」
 八兵衛は見事な熊の毛並みを指でなぜていたがその指が鉄砲玉の穴へ、するりと落ち込んだ。
 「あ、申し遅れましたが、家内がよろしくと申しておりました」

    
言い訳は無理
 「その顔の引っかき傷はどうしたんだ」
 「口紅がついていたのを女房にとっちめられてね。この有様さ」
 「満員電車とかダンスでついたとか言い訳が出来なかったのかい。で、口紅はどこについていたのかい?」
 「うん、それが前開きのパンツだったんだ」

     
誤解
 「おや、ファスナー君、ひどい顔になって、喧嘩でもしたのかね」
 「いや、さっき、ジムの家で彼の帰りを待っていたんだ。するとどうしたはずみか、ズボンの前ボタンがポロリと落っこちてね。ジムの奥さんは気のつく人で、手早いものだからズボンをはいたまますぐ付けてあげますよと、やってくれたんだ。ところが糸を切る時、いつもの癖で糸切り歯で切ろうとした時、ジムが帰ってきたものだから……。それで俺はこんな顔になってしまったんだ」

     
おしゃま  
 マー君は四歳の男の子である。ある日、書斎で書き物をしている父親のところへやって来て
 「パパ、ボク、ケッコンしてもいい?」
 パパはビックリしたが、笑顔で
 「いいよ、だけど誰と結婚するんだい? お隣のチャコチャンかい?」
 「ううん、おばあちゃんとだい」
 「へえー、そうするとパパのお母さんと結婚するの?」
 「いいじゃないか。自分だってボクのままとケッコンしたんだから」